冬でもキレイな手元で
BRAUNが生まれたドイツで、数々の歴史的な車をデザインしてきたプロダクトデザイナー・和田智氏が語る「シリーズ9」の魅力とは?デザインと機能性の両面から「シリーズ9」を厳しくチェック、その魅力に迫ります。
和田 智氏 SATOSHI WADA
カー&プロダクトデザイナー、SWdesign代表取締役
84年日産自動車入社。シニアデザイナーとして量販車のデザインを担当。98年にアウディAG/アウディ・デザインへ移籍、シニアデザイナー兼クリエイティブマネージャーとして活躍。2009年に独立し、自身のデザインスタジオ「SWdesign」を設立。
僕のブラウンとの出会いは幼少期にさかのぼります。洗面所から毎朝6時になると聞こえてくるシェーバーの音。親父が使っていたブラウンのシェーバー「Sixtant(シックスタント)」の音でした。その音に父としての威厳、大人の世界への憧れ、親父とのある種の絆のようなものすら感じていました。
その頃から子供ながらに「BRAUN」という文字を品格のあるロゴとして認知し、僕の感性を育ててくれる入口にもなった。親父のシェーバーが、人生のシナリオの始まりだったんですね。だから僕はブラウンを選ぶ。親父が洗面所に立っているシーン、そのものが僕にとってのブラウンなんです。
和田氏が「父親の情景」を感じるというブラウンのシェーバー「Sixtant(シックスタント)」。1962年登場。世界初 6角形の形の網刃を搭載している。
プロダクトは時にユーザーを記憶の中に連れて行ってくれます。デザインとしての「新しさ」以上の奥行きが「記憶」にはあるのです。しかも、記憶は時間とともに美しくなります。だから僕は「記憶」を大事にしているし、ブラウンを選ぶ理由にもなっています。
僕はブラウンのシェーバーをずっと使い続けていますが、その生き様を共にしていること、それ自体がブランドなんです。「ブランドイメージ」とはビジネスの側面だけではなく、モノとユーザーをつなぐ深い絆であり信頼関係。今も昔もブラウンが愛され続ける理由もそこにあるのだと思います。
「シリーズ9」を使って印象的だったのは、なんといっても“肌へのやさしさ”。それなのにしっかりと深剃りもできている。今まで両立は不可能と思われていた“肌へのやさしさ”と“深剃り”を見事両立していて、剃り心地は文句ありませんね。それを実現しているヘッド部分のデザインもいい。本体から外して裏側を見てみると、エンジニアたちの苦心の跡が見られます。顔に直接当たるヘッドはシェーバーのデザインで最も重要な部分。そこが一番美しい、素晴らしいデザインですね。実際、「シリーズ9」は手に取った時の重厚感と触感が素晴らしく、フラッグシップモデルならではの重みを感じます。きっと「シリーズ9」を選ぶ人は、自宅の洗面所も洗練されていて整っているはず。その場所にこのシリーズ9が美しく置かれる。それは他社の製品には決してマネできない、ブラウンの価値そのものですね。
使用感について「剃り心地は文句なし」と語る和田氏。その鍵を握るのがシリーズ9ならではの「デュアル連動刃™」だ。寝たヒゲを持ち上げカットする「極薄リフトアップ刃」と、あらゆるくせヒゲを捕える「くせヒゲキャッチ刃」からなる2枚の刃が、通常では剃りにくい2種類のヒゲをより確実に捕える。結果的に、一度で多くのヒゲを捕えることができるので、シェービング回数が少なくなり、肌にやさしい。「ブラウンの先端技術が全て詰め込まれていて、シェーバーの機能として申し分ありませんね」。
毎分1万回の音波振動が肌を震わせ、より多くのヒゲを一度で捕える――。深剃りのために開発されたのが「人工知能ターボ音波テクノロジー」だ。「これはキレイに剃れるな、と感じさせる音が出ます。しかし僕にとっては、音が科学的で少し軽い気がします(笑)」と和田氏。「シェーバーはただのヒゲ剃りじゃなくて、親父の存在そのもの。もっと重みのある音が個人的には好みですね」。
技術の粋が詰まったブラウンのシェーバー。だけどブラウンの魅力は機能だけじゃない。シェーバーを通して僕自身の過去の記憶や様々なストーリーとコミュニケートできること、それがブラウンというブランドの強さなんです。
僕がブラウンの製品に憧れたように、子供やこれから成長する人たちにとっても憧れが大きなモチベーションになります。そして憧れに近づこうとすることが人生の大きなパワーになる。ブラウンにはそれだけの深い奥行きと力があります。最先端の剃り味や肌の感触以上に、ユーザーの心に響くストーリーが生まれたとき「シリーズ9」がただの道具としての存在を超えるんです。
現在と過去をどのように結んで、深い絆にするか。人の心に辿り着けるものにしていくか。それがプロダクトの真の価値です。過去のブラウンのDNAをうまく継承しながら、いつかこのシリーズ9を超えるようなシェーバーが出てくることを期待しています。
和田 智氏SATOSHI WADA
カー&プロダクトデザイナー、SWdesign代表取締役 1961年東京生まれ。武蔵野美術大学卒。84年日産自動車入社。シニアデザイナーとして、初代セフィーロ(88年)、初代プレセア (89年)、セフィーロワゴン(96年)などのデザインを担当。89~91年、英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート留学。98年、アウディAG/アウディ・デザインへ移籍。シニアデザイナー兼クリエーティブマネジャーとして、A6、Q7、A5、A1、A1などの主力車種を担当。7年アウディから独立し、自身のデザインスタジオ「SWdesign」を設立。独立後はカーデザインを中心に、ドイツでの経験を生かし「新しい時代のミニマルなものや暮らし」を提案している。 ホームページは コチラ