冬でもキレイな手元で
話題の『世界遺産』。せっかく訪ねるなら最高のシーンを捉えたいもの。憧れの絶景に出会えるドライブの旅、写真家の三好和義さんが案内。
胸にこみ上げる、ドラマチックな郷愁。昔話に迷い込んだような、美しき日本の原風景へ。
白川郷(岐阜県・富山県)
江戸時代末期から明治時代にかけて多く建てられた合掌造りの家々。積もった雪が滑り落ちやすくなっている約60度の急勾配の屋根裏では、養蚕などが行われていました。緑豊かな夏もいいですが、ライトアップされた冬の雪景色も格別です。
高台から集落を見渡せば、眼下には日本の里山の原風景が広がります。しんしんと降り続ける雪、静かな時間の流れ。子供時代を思い出し、懐かしさが胸にこみ上げてくるはず。ノスタルジーを感じる素朴な風景に、タイムスリップして昔話の世界に来たような感覚を味わえます。
白川郷の荻町集落では、民宿になっている家屋もあり、「世界遺産に泊まる」という楽しみ方ができます。2008年の東海北自動車道全線開通により、各地域からのアクセスも非常に便利になっています。
オトナを惹きつけてやまない、日本の信仰と芸術の源泉に触れる
富士山(静岡県・山梨県)
2013年に「世界文化遺産」となった富士山ですが、実は単体で登録されたわけではありません。登山道を含む富士山域や、噴火を鎮めるために平安時代初期に山麓に建てられた「浅間神社」などの神社、湖沼などを含む25の遺産が「世界文化遺産」として登録されました。
四季折々に彩られる河口湖畔から見上げる富士山や、「逆さ富士」もまた絶景です。『万葉集』や葛飾北斎の『富嶽三十六景』など、あらゆる芸術の題材となったその美しい姿は、今も昔も日本人の心をとらえて離しません。富士山は日本の芸術の源泉ともいえる存在なのです。
知れば知るほど新たな発見があり、知的好奇心をかき立てる富士山。日本の信仰と芸術を担ってきた、その深遠な文化と雄大な自然をぜひ味わってみてください。