冬でもキレイな手元で
愛犬が待つ家に帰ったときや、抱っこしている時に、何となくニオイが気になったことはありませんか?
生き物である以上、多少のニオイがするのは当然なことです。けれど、共に生活しているとどうしても気になってしまう場面もあるでしょう。
本記事では、犬のニオイの原因とニオイに対する適切なケアについて紹介します。大切な愛犬と気持ちよく過ごすためにお役立てください。
気になる愛犬のニオイの3つの場所とその原因
ニオイが出やすい部分は大きく「体臭」「口臭」「耳」の3つがあり、場所によって原因は異なります。 それぞれの原因について、詳しく見ていきましょう。
体臭
「獣臭い」と感じる方も多い犬の体臭。 この体臭は「アポクリン腺」から分泌される汗が空気に触れて酸化し、雑菌が繁殖することで発生します。
犬にはアポクリン腺が全身に存在し、全身で「脇汗」のようなじっとりとした汗をかき、夏場は強く臭うこともあります。
口臭
犬は人とのコミュニケーションが大好き!
顔を寄せられた時に口臭が気になる方もいるのではないでしょうか。 犬の口臭の原因として最も多いのが、口腔衛生状態が悪いことです。
口腔ケアが不十分だと歯垢や歯石がたまり、細菌が繁殖して口臭が発生してしまいます。
耳のニオイ
耳は脂質が出やすい場所。また構造上、犬自身では汚れを落としにくい場所です。
脂質をエサとする雑菌も繁殖しやすくニオイが発生します。 放っておくと、外耳炎など耳トラブルのもとにもなるため注意が必要です。
今日から自宅で始められる愛犬のニオイケア
ニオイの出やすい原因がわかったら、そのケア方法を具体的に見ていきましょう。適切な対応ができれば、自宅ケアで愛犬のニオイを和らげることは十分できます。
飼い主であるあなたにたくさん可愛がってもらえることが愛犬にとっての幸せでもあります。
しっかりケアをして、目一杯スキンシップをしてあげましょう。
体臭のケア方法
①シャンプーをする
愛犬の体臭が気になる方は、1、2週間に1回程度シャンプーをしてあげてください。
その程度でいいの?と思われるかもしれません。しかし頻繁にシャンプーをすると皮膚の表面の皮脂膜も落ちて潤いが失われやすくなります。そうなると菌が繁殖しやすくなるため、皮膚が荒れることにもつながるのです。
いつも清潔にして心地よく過ごしてほしい……そんな思いがある方は、シャンプー後にセラミド成分が入った保湿剤を塗ってあげるとよいでしょう。
またシャンプー後は、しっかりと乾かしてあげることも大切です。生乾きのままだと細菌が繁殖したり、毛が傷んだりする原因になります。
②ブラッシング
ブラッシングをすることでニオイの原因となる汚れや、毛が絡むことでできる毛玉を防ぐことができます。
毛玉ができると、その中で菌が繁殖しニオイの原因にもなったり、皮膚が引きつれたりして、皮膚炎の原因になることがあります。ブラッシングはニオイや毛玉の予防だけでなく、皮膚炎の予防にもなるということですね。
一見、短毛種の犬はブラッシング不要のように思われがちですが、そうではありません。
毛が短いため毛玉の心配はありませんが、ブラッシングはマッサージ代わりとなり、血流を促進して皮膚の健康を保ちます。3、4日に1回程度、毛の流れに沿って撫でるようにブラッシングしてあげてください。
また長毛種の場合は、毛が絡み毛玉になりやすいため、1日1回ブラッシングをしてあげましょう。特にケアが必要なのは、脇の下、股の間などの動かすたびに毛同士が擦れ、毛が絡みやすい場所です。
愛犬とのコミュニケーションの1つとしてブラッシングを行い、信頼関係を深めるようにしましょう。
口臭のケア方法
口臭を改善するためには、口の中をキレイにすることが一番です。
口腔ケアにおすすめなのは歯ブラシ。使う際のポイントは、ゴシゴシと強くこすらないこと。頻度は3日に1回程度が理想的です。
歯垢が歯石になるまでが約3~4日なので、それを避けるためにも適度にケアしてあげてください。
歯ブラシは犬用のものはもちろん、代用として赤ちゃん用のものも使えます。できるだけヘッド部分が小さいものを選び、優しく磨いてあげると犬も受け入れやすいでしょう。
歯ブラシを嫌がったら…?
①歯磨きシート
ただ歯ブラシを口に入れられることを嫌がる子もいます。その場合は歯磨きシートを試してみましょう。
飼い主さんの指にシートを巻き付け、歯を磨いてあげると意外と嫌がらずケアさせてくれる子もいますよ。
②デンタルジェル
磨くという行為そのものを嫌がることもあるでしょう。そんな場合には、デンタルジェルがおすすめです。
指にジェルを付け、犬の唇をめくり歯や歯周ポケットに擦りこみながら軽く歯茎をマッサージしてあげてください。
③デンタルスプレー、マウスクリーナー
口を物や指で触れられたくない子は、歯に直接噴射するデンタルスプレーや飲み水に混ぜて使うマウスクリーナーが良いでしょう。しかし、これらは菌の繁殖を抑える効果しかなく、汚れをダイレクトに取ることはできません。
口臭ケアに一番効果的なのは歯ブラシです。犬に受け入れてもらいやすいケアの順番は以下のようになります。受け入れてもらいやすい分だけ効果は下がります。
①デンタルスプレーとマウスクリーナー
↓
②デンタルジェル
↓
③歯磨きシート
↓
④歯ブラシ
口の中を触らせてくれない子のケアについては、獣医師に相談することをおすすめします。
耳のケア方法
垂れ耳の犬種は、耳の中の湿度が高くなりやすいため、菌が繁殖しやすくニオイが出やすい傾向にあります。しかし垂れ耳の犬種は絶対に耳からニオイがするわけでも、耳が立っている犬種はニオイがしないわけでもありません。
例えば、人間でも耳垢がカサカサしたタイプと湿り気のあるタイプの人がいるように、犬も耳垢の状態や汚れ方は個体によって異なります。
そのため、愛犬の耳の状態に合ったケアが重要となります。
耳のケアは汚れが少ない子なら月に1回で十分。頻繁に汚れが出る場合は、週に1回程度優しく耳垢を拭いてあげてください。
この際、奥まで触ったり、汚れを取ろうとしたりはしないようにしましょう。ケアをしすぎて、耳の中が赤くなったり皮がめくれたりすることがあります。
見た目での変化があったり、痛がったりしているようなら耳掃除を控えてください。
掃除しても汚れが増える場合は炎症を起こしている可能性があるため、早めに獣医師に相談することをおすすめします。
家についた愛犬のニオイを軽減する方法は3つ
お部屋についたニオイを消すには、こまめな掃除と洗濯が最も大切です。重点的にどういった対策をすればいいのかポイントをお伝えします。
①布製品の洗濯
犬の体臭や汚れがつきやすく気になる方も多いのが布製品。ニオイを取りたいなら洗濯するのが一番の解決方法です。例えば洗濯が難しいソファーにはできれば、取り外しのしやすい覆うタイプのカバーをかけて定期的に洗うようにしましょう。
またベッドにニオイや汚れがこびりついてからきれいにすることは難しいです。愛犬と一緒に寝ている方は、よりニオイが付きやすくなるので、気になり始めたらすぐに洗濯するようにしてください。
別々に寝ているという方は、愛犬のベッドを月に一度は洗濯するようにしましょう。
②床や犬用トイレの拭き掃除
床は、愛犬がトイレの際に踏んでしまった糞尿や食べこぼしなどで目に見えずとも汚れていることがあります。
ペットのいる家庭での掃除は単に汚れを拭うのではなく、“殺菌する”という意識を持って行うことがポイントです。
拭いただけだと汚れの成分や菌が残って悪臭の原因になるからです。また、衛生的にも良くありません。そのため、拭き掃除をするときや愛犬のトイレ掃除をするときは家庭用のアルコールを使うようにしましょう。
ただし床ワックスをしている場合は、アルコールは油を溶かす性質があるため、別の消毒できる製品を使うようにしてください。
③お部屋のニオイケア
部屋のニオイをスプレーで消臭する家庭は多いでしょう。近頃では、犬が舐めても安全で除菌もできる消臭スプレーや、ペット臭向けの製品も出ています。
匂いの好みに合わない場合はストレスにつながる場合もありますので、天然素材のアロマや無香料のものをお使いいただくといいでしょう。
根本的な消臭になるとまでは言えないですが、ニオイの軽減にはつながるかもしれません。
犬がいずれのニオイも苦手な場合は、換気や空気清浄機を使用しましょう。
マナーウェアは、蒸れやすい素材で作られていることが多々あります。
長時間、同じものを着け続けていると尿焼けやかぶれの原因となり、皮膚炎につながる可能性があります。
使用している方、これから使用を検討している方は、頻繁に交換し、清潔に拭いてケアしてあげてください。
大切な愛犬と心地よくすごすために
大好きなペットと気持ちよく過ごすためにもニオイケアはとても大切なことです。ただ気にしすぎて過剰にケアすると犬のストレスにもなるためご注意ください。
適度なケアに留めておくことが、ご自身と愛犬の生活を楽しくする工夫の一つとも言えるでしょう。
プリモ動物病院 上溝/腫瘍科・CTセンター 加藤 憲一 院長
日本大学生物資源科学部 獣医学科卒業日本獣医がん学会 獣医腫瘍科認定医Ⅱ種 取得
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