冬でもキレイな手元で
木々の緑を見るだけで、ほっと気持ちが安らぐ…植物には不思議な力があるようです。植物や土と触れ合う暮らしを始めてみましょう。植物が私たちにもたらしてくれる豊かな時間やパワー、緑を取り入れ、上手に付き合い、心地よく暮らしていくためのポイントを、プランツコーディネーターの木咲 豊(きざき ゆたか)さんにお伺いしました。
空間が心地よく、自然とつながる暮らし
植物はいつも、自然のペースで生きています。今、世の中のスピードはとても早いですよね。植物は、触れ合った人を少しだけ立ち止まらせてくれます。それが安らぎや癒しにつながるのでしょう。また、どんな時もありのままで生きる植物は、自然本来が持つ強さもくれます。どんな小さな部屋でも、そこにひと鉢の植物があるだけで、自然とつながることができて、地球の一部であることを感じることができる。そうするといろいろなことに感謝する気持ちが生まれて、やさしい気持ちで過ごすことができると思います。ぜひ、気軽に、自由に、植物と遊ぶような気持ちで、緑のある暮らしを始めてみてください。
葉の形、花の色…心惹かれるひと鉢を
植物を育ててみたいと思ってお店に行っても、どんな植物を選べばいいのか迷ってしまう方もいるかもしれません。そんな時は、「葉の形が可愛い」「花の色が素敵」「なぜかわからないけど気になる」など、見た目で選んでみてください。そうやって手にいれた植物であれば、大切に育てたいと感じ、日々のお世話も楽しくできると思います。育て方はお店の人にアドバイスをもらいましょう。
初めて植物を育てる方、枯らせてしまうのが心配な方、毎日世話のできない方は、頻繁な水やりの必要のない多肉植物、パキラ、ポトス、ストレリチアなど、比較的丈夫な種類がおすすめです。 味わいまで楽しめる、野菜やフルーツ
ハーブやプチトマト、ベリーなど食べることのできる植物は、育てる楽しさ、収穫して味わう喜びも味わうことができます。パプリカ、いちじく、ほおずきなどもおすすめです。 植物の驚きの世界を楽しんで
植物の中には、食虫花、かじると甘い葉をもつ草、酸っぱいものを甘く感じさせるフルーツなど、驚くような性質を持ったものがたくさんあります。まるで植物図鑑に出てくるような、変わった葉や花をつけるものなども。お店にあるグリーンを見ているだけで、植物は私たちを驚きの世界へと連れて行ってくれます。
植物の“波長”に合わせて育てる
きちんと水をあげているのに、なんだか元気がないということがあるかもしれません。植物に必要な水や光の量などは、季節や天気によって変動します。大切なのは、植物の“波長”を感じてあげること。植物は動物のように声を発しませんが、とても繊細なサインを発しています。例えば、葉が黄みを帯びている時は光が足りないサイン、新芽が曲がっている時は根詰まりを起こしている可能性があります。日々観察し、世話をしていくうちに、波長がわかり、次第に合ってくるようになりますよ。
上手に育てるコツ
毎日世話をすることが難しい人は、できるだけ目に付きやすいところに置いておきましょう。朝、5分だけ早起きして植物と触れ合う時間をつくるのも、豊かな過ごし方ですよね。 時には自然に戻してあげる
観葉植物は、もともと自然で生きていたものを、人間が器に移し替えたもの。屋内で育てている植物も、元気がない時は外に出して、風に当ててあげましょう。目安は月に一回です。ポトスなど強い日差しが苦手な植物も、曇りの日や雨の日に外に出してあげてみるとリフレッシュしてより元気になります。
植物の周りを、とっておきの空間にする
心惹かれる植物を選んだら、鉢はお気に入りの器や受け皿にうつしかえてあげましょう。キレイな石やアクセサリーのモチーフなど、好きなものを添えてみるのもいいですね。買いに行かなくても、自宅に今あるものでOK。植物の周りがプラスの空間になって、いっそう世話をするのが楽しくなりますよ。あなたが心地いいと感じていることは、植物にも伝わり、植物も元気に心地よく育ってくれるとい効果もあります。
もっと自由に楽しもう
貝殻を使って海を表現したり、鹿の角などのオブジェを使ってプリミティブな生命を表現してみたり、ひと鉢の中に“見立て”を使ってさまざまなストーリーを膨らませて、遊ぶように植物と触れ合うのも楽しいものです。
もし、緑を枯らしてしまっても落ち込まないでください。好きな植物と触れ合ったことが経験となり、次第に育てるコツが身についていきます。ご自身のペースで、気に入ったひと鉢から始まる緑との暮らしを楽しんでください。
プランツコーディネーター・木咲豊と、コミュニティプランナー橋詰敦夫2人によるユニット。花束からランドスケープまで、屋内外を問わず、植物を生かした空間デザインを行う。「花と植物あふれる暮らし」をテーマに、遊び心あふれる空間のあり方を提案する。2005年より、東京・五反田にある同店の店舗を拠点に活動中。