冬でもキレイな手元で
アイロンがけが、しっかりと行き届いた衣類は見た目の印象はもちろん、着ていても気持ちがいいもの。でも、ちょっと気を抜くと深いシワがついてしまうなどの経験から、苦手意識を持っている方も多いようですね。
そこで、アイロン上手になるための、アイロンがけの基本からご紹介します。
アイロンがけを始める前に基本事項をチェック!
衣類についている取り扱い絵表示を確認!
取り扱い絵表示には、アイロンがけが可能かどうかはもちろん、可能な場合のアイロンの温度設定や、当て布が必要かどうかまで表示されています。綿素材だから高温でも大丈夫!と思っても、取り扱い絵表示では、中温設定の指示がある場合も。
自分で判断せず、必ずそれぞれの衣類の取り扱い絵表示を確認するようにしましょう。
必要なものを準備!
アイロン
コードレスアイロンなら、細かい部分をかけるのに便利。充電しなければならないのがネックですが、枚数がそれほど多くなければ、1回の充電で問題ありません。アイロン台
脚付きのものだと、シャツの肩部分を先端に突っ込んだり、ズボンをはかせたりするなど、立体的にアイロンがけができるので、初心者やアイロンが苦手という方におすすめです。霧吹き
綿や麻素材など、シワができやすい生地をしっかり伸ばしたいときは、全体に霧吹きをかけて湿らせてから、アイロンをドライ設定にしてプレスします。スプレーのり
ワイシャツなどをパリッと仕上げたいときに便利です。霧吹きで軽く湿らせてから使用すると、ムラなく仕上げることができます。当て布
生地のテカリが心配なデリケートな衣類は、当て布をしてアイロンがけを。当て布は、手ぬぐいや大きめのハンカチなど、薄い綿素材のものが適しています。
スチーム設定とドライ設定、どっちが正解?
多くの人が、すべての衣類にスチーム設定を利用しがちですが、素材ごとに使い分けることが、より効果的にきれいに仕上げるコツになります。
綿や麻素材など、しっかりとしたシワがついているものは、アイロンのスチームだけではなかなかシワを解消できません。そんな時は、霧吹きで衣類全体を湿らせてからドライ設定でアイロンがけをします。
ポリエステルやシルク素材など、薄手の生地にもドライ設定が最適です。ただし、高温にならないよう、くれぐれも注意しましょう! 高温時はアイロンの跡が付きやすく、一度付いてしまうと消えません。
また霧吹きで湿らせた部分が、アイロンがけをしても乾ききらなかった場合は、アイロンがけの後ハンガーにかけて干すなどして乾かしましょう。ウールやニットなどのシワを伸ばしたいときや形を整えたいときは、スチーム設定にするのが正解。
シワがあまり気にならない、薄手の綿素材もスチーム設定が適しています。
ニット素材などをソフトに仕上げたい場合は、直接当てずにアイロンを少し浮かせてかけると、ふわっと仕上がります。
どの衣類にも共通!アイロンがけの極意
アイロンはプレスするのが原則
アイロンは基本的にシワを伸ばすもの。表面を滑らせるのではなく、少し力を加えてプレスする意識を持つと、きれいに仕上がります。アイロンをかける順番は原則細かい部分から
アイロンは基本的に細かい部分からかけていきます。広い面からかけると、細かい部分をプレスするときに、腕などがあたって新たなシワを作ってしまう可能性を避けるためです。縫い目を引っ張りながら両手を使う
アイロンがけの一番の失敗は、布地がたるんだままアイロンをかけてしまってシワを作ってしまうこと。アイロンをかけるときは、反対の手で、縫い目を引っ張ったり、生地を移動させたりして、たるみを作らないことが失敗しない秘訣です。すぐにたたんでしまわない
アイロンを当てた直後は、まだ衣類に蒸気が残っている状態。この状態のときに、たたんでしまうと、新たなシワがついてしまう恐れがあります。数分間ハンガーにかけるなどして、熱や蒸気が飛んでから、しまうようにしましょう。
衣類の種類別、正しいアイロンのかけ方
シャツ
アイロンがけの頻度が最も高いシャツ。人目につきやすい襟と袖口の部分をしっかりプレスすることが、きれいに見せる秘訣です。
※ワイシャツのアイロンがけの順番はこちらを参考に。
襟
前身頃のアイロンがけを終えた後、最後に襟を立て、付け根部分を1周ぐるりとプレスすると、キリリとした印象に仕上がります。
袖口
襟と同様、最後に袖口にアイロンを入れ、ぐるりと1周プレスすると、きれいに仕上がります。
ジャケット
シャツより立体的なジャケットは難易度が高い衣類ですが、ポイントを押さえれば意外とキレイに仕上げることができます。
身頃を裏向けに置いて縫い代をプレス
身頃部分を裏向けにして、アイロン台に着せるようにして置き、縫い代部分をしっかりとアイロンで押さえて寝かせます。この工程を先に行うことで、全体のゴワツキを解消できます。
袖部分はやさしく、ていねいに
立体的で幅が細い袖は、油断していると余計な折れ線をつけてしまいがちな難関部分。細心の注意を払って、やさしく丁寧にかけましょう。袖部分をアイロン台からはみ出るように置くと、端がプレスされないので折れ線がつくのを防げます。
立体的な肩部分にはタオルを挿入
立体的な肩部分は、アイロン台に置くと盛り上がってしまって、アイロンをかけるのが困難。そんなときは、袖幅に折りたたんだタオルを中に入れるのが正解。反対の手で下から支えながらやさしくプレスしましょう。
襟や身頃は、シワが目立つ部分を重点的に
襟や前・後ろ身頃はシワが目立つ部分のみをプレスするだけでも、見た目がキレイになります。襟は裏側から反対の手で引っ張りながらかけると上手にできます。
スラックス
かける順番を守って最後に折り目をつけることが、きれいに仕上げる秘訣です。
腰回り&ヒップ部分
生地を裏側にしてアイロン台にはかせるようにして置き、プレスします。その後、表に返して軽くプレスします。
足部分
片足ずつ縫い目に合わせてアイロン台に置きます。膝はらせん状にスチームを当てて、たるみをとり、裾が動かないように反対の手で押さえながら、裾から股下にかけてプレスします。
折り目をつける
最後の仕上げには、前後の折り目をしっかりとつけます。
布マスク
布マスクのアイロンがけは殺菌効果があるため、お洗濯後はアイロンをかけるのがおすすめです。温度は160〜200度前後にして、裏側から丁寧にかけましょう。ゴムは溶けやすいのでアイロンの熱が当たらないように注意しましょう。
デニム
デニムは洗わずに色落ちや経年変化を楽しむ衣類ですが、アイロンがけでセンタープレスを入れることで、スラックスのようなフォーマルな雰囲気を演出することもできます。
センタープレスをつけるには、股上から裾まで、内股と外脇の縫い代を重ね合わせて、しっかりと折り目がつくようにスチームを当ててアイロンをかけていきましょう。
● 監修:中村 安秀
「クリーニングショップ中村」(大阪)店長
http://cl-nakamura.com/