冬でもキレイな手元で
白湯(さゆ)は、古くから健康や美容に良いとされ、多くの人に親しまれてきました。
しかし、具体的な効果や正しい飲み方を知らない、知っていても忙しい日々の中で継続するのが難しいと感じている人も多いのではないのでしょうか。
そこで今回は、白湯を飲むおすすめのタイミングや無理なく習慣化するためのコツについて、わかりやすく紹介します。
白湯とは?
白湯とは、水を沸騰させた後、50~60℃の温度に冷ましたもののことです。
体温より高い温度にすることで、飲んだ時に内臓を優しく温めてくれます。そのため白湯の温度が40℃以下に下がると、温め効果は得られず、ただの水分補給になってしまいます。
白湯とお湯の違い
白湯とお湯の違いにはさまざまな説がありますが、そのうちの1つに次のような考え方があります。
お湯…水を沸騰させたばかりで、まだ冷ましていないもの
つまり、白湯は「沸騰後、時間が経って適温に冷ましたもの」、お湯は「沸騰してすぐのもの」ということです。
白湯を飲むことで期待できること

白湯のメリットは大きく分けて4つのポイントがあります。
① 内臓を温め、免疫細胞の働きをサポート
実は、全身の免疫細胞の約7割は腸に存在します。腸が温まることで、免疫力を維持することにつながります。
② 代謝が上がり、脂肪が燃えやすい体に
白湯を飲むと胃腸が温められ、内臓が活発になって血流がよくなります。すると基礎代謝が上がり脂肪が燃えやすい状態に。
③ 食事の消化&吸収力が向上し、しっかりエネルギーに変わる
消化機能が活性化し、栄養を吸収しやすい体づくりができます。また胃もたれや消化不良を防ぐことにもつながるのも大きなメリットと言えるでしょう。
④ 胃や腸を刺激して老廃物を排出!
起床後、白湯を飲むと、胃から腸へと刺激が伝わります。 腸が刺激されると蠕動(ぜんどう)運動が活発になり、老廃物の排泄がスムーズに。さらに水分を摂取したことで尿量が増え、体内に溜まっていた余分な水分が排出されやすくなります。
とっても簡単!白湯の作り方
白湯は、水を温めて冷ませばいいと思っている人も多いはず。
間違っているわけではありませんが、使う水によって気をつけなくてはいけないポイントがあります。
① 水道水の場合
(1)水をやかんや鍋に入れて沸騰させましょう。
(2)沸騰したら、そのまま10分ほど放置して塩素を飛ばしましょう。 この際、水が少なくなるため、あらかじめ水は多めに入れておくことをおすすめします。
(3)沸騰後、10分ほど経ったら、火を止めて50〜60℃程度まで冷ませば白湯の出来上がり。
② ミネラルウォーターの場合
ミネラルウォーターには塩素が含まれていないため、水が沸騰したらすぐに火を止めて50~60℃程度まで冷ませば白湯の完成です。
効果的な白湯の飲み方と適切な量は?

① おすすめのタイミングや頻度
白湯を飲むタイミングは、起床後と就寝前がおすすめです。 それ以外にも、お風呂の前後や食事の際など、好きなタイミングで取り入れても良いでしょう。
白湯を飲むタイミングによって期待できるメリットが変わります。
順番に紹介しますので、自分の悩みと照らし合わせながら確認してみてください。
●起床後に飲むメリット
朝に白湯を飲むことで内臓を温め、冷えた体を目覚めさせるのに最適です。 白湯を飲むことで胃腸の働きが活発になりやすく、消化吸収を高めることにもつながり便通の改善にも役立つでしょう。
●就寝前に飲むメリット
寝る前に白湯を飲むと寝つきが良くなります。 その理由は、白湯で一度体を芯から温め、その後ゆるやかに体温が下がることで眠りにつきやすくなるからです。 寝つきが良くないという方は、就寝前に白湯を飲む習慣をつけると良いでしょう。
●入浴前後に飲むメリット
入浴前に冷たいものを飲むと、体が冷えてしまいます。白湯などを選ぶと、お風呂の温浴効果をより高めてくれます。 また入浴による脱水を防ぐことにもつながります。
入浴後に冷たい飲み物を飲むと、せっかく温めた体が冷えてしまいます。 冷たい飲み物ではなく白湯にして、入浴して温まった体が冷えないようにしましょう
●食事中に飲むメリット
特に女性は冷え性の人が多くいます。 そのため、食事中に温かい白湯を飲むことで、体が冷えにくくなります。
このように白湯は、とりやすいタイミングで飲んで問題はありません。 ただ健康的な体作りのためにも起床後と就寝前は意識的に取り入れることをおすすめします。
② 無理のない範囲で白湯に置き換え
人が1日に必要とする理想的な水分量は、1.5~2リットル程度です。 無理に飲もうとせずとも、食事中のお茶やリラックスタイムのコーヒーなどを含めると、自然とこの量に達する人が多いです。
1日に飲むもの全てを白湯に置き換える必要はありません。
日中はコーヒーやお茶を飲みたい人も多いと思うので、我慢してストレスを溜めるより、好きな飲み物を飲んでくださいね。その代わり、起床後や就寝前のコーヒーなどを白湯に置き換えることをおすすめします。
無理なく取り入れることで継続しやすくなるはずです。
白湯を習慣化できる・したくなるポイント
① 白湯をおいしく飲むために食材をちょい足しアレンジ

白湯は体に優しい飲み物ですが「味気ない」「飲み続けると飽きる」という方にアレンジしてはいかがでしょうか。
ちょっとした食材を加えることで風味や栄養がアップします。気分や体調に合わせて、いろいろなアレンジを楽しんでみてください。
生姜は体を温める作用があることで有名で、白湯にちょい足しするのに適した食材です。 すりおろした生姜を加えると香りが立ち、より本格的な風味が楽しめますが、忙しい朝には粉末やスライスがお手軽。
特に寒い季節や冷えが気になるときに、ぜひちょい足ししてみましょう。
シナモンには血行促進や抗酸化作用があると言われています。ほんのり甘さをプラスすることで飲みやすさもアップ!
はちみつを加えればまろやかな甘みが、黒糖を加えればコクのある優しい味わいに。体の芯から温まりたいときにピッタリです。
優しい香りはリラックス効果もあるため、夜に飲むのがよりおすすめです。
朝の一杯におすすめなのがレモン入り白湯。スッキリとした酸味と爽やかな香りで、目覚めをスムーズにしてくれます。
またむくみの解消につながるのもうれしいメリット。
ビタミンCも豊富なので、美容や健康が気になる方にも◎。輪切りや絞り汁など、お好みのスタイルで取り入れてみてください。

ほんのりとした塩味がクセになる梅干し白湯。
梅干しに含まれるクエン酸には疲労回復効果が期待でき、胃腸にも優しいので、食欲がない朝にも良いでしょう。リラックスしたいときや、和風の味わいが欲しいときには梅干しを試してみてください。
シソをフライパンで軽くあぶりパリパリにすることで香りが引き立ち、より深みのあるお茶のような味わいに。
夜に飲むと、ほっと一息つけます。消化を助ける効果もあるため、胃腸の調子が気になるときにちょい足ししてみましょう。
昆布を加えると、白湯にじんわりと旨味が広がります。
ミネラルや食物繊維が豊富に含まれているため、健康維持にも役立ちます。出汁を取るようにじっくり浸しておくと、より深みのある味わいが楽しめますよ。
白湯に少量の味噌を溶かすと、ほんのりとした味噌風味が加わり、心も体もホッと温まる優しい味わいに。発酵食品である味噌は、腸内環境を整える働きも期待できます。
いかがでしたか? 白湯はちょっとしたアレンジで、風味や栄養がぐっと広がります。気分に合わせていろいろな組み合わせを試して、お気に入りの一杯を見つけてみてください!
② 余裕のある時間に白湯を作っておきましょう
寝る前にお湯を沸かしておけば、忙しい朝でも電子レンジで温めるだけです。
さらに簡単な方法は、夜に沸騰させたお湯を保温ボトル(魔法瓶)に入れておきましょう。保温ボトルの中でお湯がゆっくりと冷め、朝にはちょうど良い温度になっています。
もし、少しぬるいなという場合には電子レンジで温めてください。
③ 水筒やマグカップに白湯を入れて置いておく
午前中に保温機能のある水筒やマグカップに沸騰したお湯を入れて、手の届く範囲に置いておきましょう。仕事中や休憩時間など飲みたいときに手の届く位置にあると、自然と白湯の量を増やすことができます。
白湯の効果を最大限にするためにできること
「白湯を飲んでも体が冷える」「変わったという体感がない」という方は、他の生活習慣も少し意識すると良いでしょう。
例えば、白湯を飲んでいても、それ以外で冷たい飲み物ばかりとっていたり、薄着でいると、当然ながら体は冷えてしまいます。そのため、白湯を飲むのと合わせて下記のような冷やさない工夫もセットで行うことをおすすめします。
(2)家の中でも靴下を履く・腹巻きをする
(3)薄着を避けて、体を冷やさない
白湯を習慣的に取り入れて、健やかで美しい自分に

白湯は、シンプルながらも体を温め、内臓の働きをサポートし、健康維持に役立つ飲み物です。
飲むタイミングやアレンジ次第で、さまざまな効果を得られるため、自分の体調やライフスタイルに合わせて取り入れてみましょう。
また、白湯の効果をより実感するためには、体を冷やさない工夫も大切です。
湯船に浸かったり、冷たい飲み物を控えたりするといった習慣を意識することで、さらに体の内側から健康的な美しさも手に入れることができる生活へとつながるでしょう。

石原新菜先生
「イシハラクリニック」副院長自然医学に基づく漢方や食事療法の診療を行うほか、執筆や講演活動を通じて健康と美容の情報を発信している。二児の母として、女性や子どもの健康に寄り添うアドバイスも好評。
テレビ東京「主治医が見つかる診療所」レギュラー出演中。
●イシハラクリニック
https://www.ishiharaclinic.com/